特殊な歯科治療

親知らずの抜歯

「親知らず」とは、成人後に生え始める第三大臼歯と呼ばれる歯のことで(未成年でも生えることはあります)、その語源は赤ん坊の歯の生え始めと違い、多くの場合親元を離れてから生え始めるため、親が歯の生え始めを知ることはないことから、「親知らず」という名が付いたとされています。人によっては生涯生えてこない、あるいは先天的に存在しない場合もありますが、この「親知らず」は口腔内で様々なトラブルの原因となることが多く、必要に応じて抜歯が必要になります。「親知らず」が生えてきたとき、他の歯と同じように真っ直ぐに生えてきた場合は第三の大臼歯として何ら問題なく使用できますが、斜めに生えていたり、真横に埋もれている場合は、歯肉が著しく腫れて化膿したり、手前の歯が虫歯になったりすることがあります。根本的な治療法としては抜歯しかないのですが、腫れている時に「親知らず」を抜歯すると炎症を周囲の組織に拡大させ逆に症状を悪化させてしまいます。まず抗生物質と消炎鎮痛剤を数日間飲んでもらい、ある程度症状の改善を図った後に抜歯を行います。

通常「親知らず」は根が太く骨にしっかりとくっついていることが多いため、抜歯処置は歯肉の切開や周囲の骨を削除して行う必要があり、処置時間は麻酔が効く時間も含めておよそ一時間弱かかります。昔は「親知らず」は悪いものですべて抜歯することが望ましい、といわれた時代もありましたが、医療技術の進歩とともに、現在では「親知らず」の手前にある第一大臼歯、第2大臼歯が虫歯や破折などで抜歯が必要な状態になった場合、きちんと生えてくれた「親知らず」が無傷で残っていれば、抜いた部分にこの「親知らず」を移植する、といった使い方が可能なケースもでてきました。

またこれから数十年の間に自分の体の細胞を使った再生医療が当たり前のようになる時代が来ることが予想されます。歯科の分野ではこの「親知らず」の中にある細胞や、その周囲にある細胞が再生医療に利用できる可能性があることが最近の研究でわかってきました。正常な「親知らず」は

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