シダキュア(スギ花粉症舌下免疫療法)を服用している患者さんの歯科治療時の注意点

 

 

東京都武蔵野市吉祥寺 内山歯科医院

歯科衛生士 青山

院長・医学博士 内山博人

 

みなさん、こんにちは。

内山歯科医院 歯科衛生士の青山です。

 

今日は、「シダキュア(スギ花粉症舌下免疫療法)を服用している患者さんの歯科治療時の注意点」といった内容でお話したいと思います。

 

スギ花粉症のアレルギーの薬に「シダキュア」というお薬があります。このお薬は花粉症に対する根治的治療に使われるお薬で、舌下免疫療法と呼ばれるものです。従来の一般的な花粉症薬はいわゆる抗アレルギー薬というもので、「くしゃみ、鼻水」や「涙目や目のかゆみ」といった花粉症特有の症状を緩和させるためのお薬です。アレルギー自体を治しているわけではなく、すでに出てしまったアレルギー症状を緩和しているに過ぎません。それに対してこの舌下免疫療法に使われるシダキュアというお薬は、少量スギのアレルゲンそのものを体に取り入れ、体を除々に慣れさせて克服させる治療で、お薬の使い方としては錠剤を舌の裏に1分間置いたままの状態にした後に、飲み込みます。

 

暖かくなってきた時期に花粉が飛んできて、くしゃみや鼻水などの花粉症に悩まされることのないよう、花粉が飛ぶ前から、そして花粉が終わった後もアレルギーに対して抵抗力を高めておくために、このお薬は継続して毎日飲むお薬になります。

 

最近になり、このお薬を服用している期間中に、歯科医院において抜歯などの出血を伴う処置を行った際に副作用が引き起こされる可能性があるという報告がでてくるようになりました。

 

元々シダキュアには副作用として口の中のむくみ・口内炎・痒み・違和感や、喉の刺激感・痛みなどを引き起こす可能性があると言われていますが、このお薬の成分が血管に入り、直接体内に取り込まれることで、重篤なアレルギー副反応を起こすケースがあるようです。アナフィラキシーショックといって、血圧の低下や喉や舌が腫れることによる気道閉塞、呼吸困難、窒息、心停止に至る可能性もあります。

 

歯科治療で出血を伴う治療で代表的なものが「抜歯」です。抜歯の際にできた傷から直接シダキュアの成分が血管から体内に入ることで、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるわけです。

 

このお薬はお子様にも使用できるお薬なのですが、生え変わりで乳歯を抜いてほしいという場合も要注意となります。

 

舌下免疫療法には他にもダニアレルギー薬として使用される「アシテア」や「ミティキュア」というお薬もあります。こうしたお薬も、シダキュアと同じように歯科治療時に注意が必要になります。これらのお薬を飲まれている場合は事前に必ず歯科医に申告してください。

 

実際これらの「舌下免疫療法」を行っている方が、どうしても抜歯などをしなければならなくなった場合、どのように対応するかといった具体的なガイドライン等は、学会からはまだ発表はされていませんが、当院では「抜歯の1日前から服用を中止し、処置(抜歯)後は5日間、休薬する」という対応を、安全面に対する配慮として行っています。(今後は厚生労働省や学会から何らかの正式発表があれば、それに準じた対応を取る予定です)

 

歯科においては他にも「骨粗鬆症の予防のお薬であるビスホスホネート製剤」や、「心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方が服用している血液をサラサラにするお薬」など、歯科治療の際に特別な配慮を必要とする薬剤があります。こうしたお薬を飲まれている方も事前にお伝えいただければと思います。

 

これらのお薬を飲んでいる場合、歯科治療が受けられなくなるわけではありません、事前にお知らせいただければきちんと対応可能です。歯科医院を受診する場合は保険証や診察券を持参するのと同じようにお薬手帳も必ず持参するよう心がけてください

 

当院では様々な持病をお持ちで、本来であれば大学病院での歯科処置が必要な方でも、対応可能な診療体制を整えております。 → 当院での持病をお持ちの方への治療について

 

 

参考 シダキュアの添付文章内の【使用上の注意】の重要な基本的注意の(4)にて

抜歯後等口腔内の術後又は口腔内に傷や炎症等がある場合は、口腔内の状態を十分観察し、本剤投与の可否を判断すること。〔口腔内の状態によっては本剤の吸収に影響を与えるおそれがある。また、本剤が傷や炎症部位に刺激を与えるおそれがある。〕

 

 

 

まとめ

「シダキュア(スギ花粉症舌下免疫療法)を服用している患者さんの歯科治療時の注意点」

 

  • 舌下免疫療法に使われる「シダキュア」は、抜歯などの出血を伴う歯科治療を行った際に重大な副作用が引き起こされる可能性があります。
  • お子様も、生え変わりで乳歯を抜く場合などは要注意となります。
  • 他にもダニアレルギーに使われるアシテアやミティキュアというお薬や、骨粗鬆症の予防のお薬、血液をサラサラにするお薬を使っている方は歯科医院で治療を始める前に事前にお知らせください。
  • 歯科医院受診時には必ず「お薬手帳」をご持参ください。

 

今回は、「シダキュア(スギ花粉症舌下免疫療法)を服用している患者さんの歯科治療時の注意点」についてお話をさせていただきました。

 

内山歯科医院では、患者様に丁寧な説明と患者様の悩みやご要望を聞きながら、治療を進めている歯科医院です。

 

何か困ったことあれば、いつでもご相談ください。

 

東京都武蔵野市吉祥寺 内山歯科医院

歯科衛生士 青山

院長・医学博士 内山博人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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