東京都武蔵野市吉祥寺 内山歯科医院
院長・医学博士 内山博人
https://uchiyama-dental.net/doctor/
皆さん、こんにちは
内山歯科医院の内山です。
今日は、「総入れ歯の方の口腔ケアについて」お話したいと思います。
総入れ歯ではなくとも、部分入れ歯をご使用の方の必見の内容となっております。
総入れ歯で歯が残っていない方は
「自分は歯がないので、もう歯磨きや口の中を直接ケアしなくてもいいや」
などとお考えの方が時々いらっしゃいます。確かに歯がないので歯磨きのしようがありません。しかしながら口腔内細菌は「入れ歯」を介してお口の中に住みつき、時に悪さをします。
入れ歯の汚れは虫歯菌や歯周病菌とは異なり、「真菌」といういわゆる「カビ」の一種である細菌が繁殖しやすくなります。
名前を聞いたことはあるかもしれませんが「カンジダ」とよばれる細菌などが一般的です。
入れ歯をお手入れしていなと表面がいわゆる「ヌルヌル」した状態になってきます。
この「ヌルヌル」は細菌が自分達を自らを守るために自己バリアを形成する「バイオフィルム」とよばれる膜のことで、お手入れが行き届いていないお台所などもにもこの「ヌルヌル」したヌメりがありますが、あれと同じ汚れとなります。
自分の口の中にあのお台所の「ヌルヌル」が、入れ歯を介して存在することを想像すると、かなり気持ち悪くなりますよね。
このカビの一種であるカンジダ菌は舌に付着しやすく、舌カンジダ症を引き起こすと舌が白くなったり味を感じにくくなったり、といった症状を引き起こします。
またこのカンジダ菌が含まれた唾液などを誤って飲み込むことで、誤嚥性肺炎などを引き起こし、ご老人の方などには時には命取りになる症状を引き起こす原因にもなるわけです。
老人ホームや介護施設で、職員の方や介護士の方が、入居者の方の入れ歯のお掃除やお手入れをきちんとやっているのは、入れ歯の付着菌が全身に大きな合併症を起こす引き金となることを理解しているからなのです。
逆にこのようなことに無頓着な施設は、介護に関しては疑問符がつくかもしれません。
ナイチンゲールに次いで有名な「近代看護学の母」ともよばれるヴァージニア・ヘンダーソン(1896年〜1996年)も
「口腔ケアは介護の質をもっともよくあらわしている」
と言った言葉を残したほどです。
では実際にどのようにお手入れをすればいいのか、単純なことですが入れ歯をきちんと毎日清掃することです。
食事が終われば歯を磨くのと同じで、一度口の中から入れ歯と取り外し、流水下できちんと汚れを洗い流すことです。
ブラシを使って毎回洗うのが困難であれば、水で流しながら指などでこすり洗いをするだけでも全然違います。
夕食後の入れ歯のお手入れ時にはブラシで擦り洗いをしていただき、そして最低でも週に2、3回はコップに入れ歯洗浄剤をいれた水にきちんと夜間浸して除菌を行ってください。
また週に一回くらいは舌もお掃除をしてみてください。
最近は薬局にも「舌ブラシ」なるものが売られていますし、毛先がやわらかいめの普通の歯ブラシをご使用いただいてもかまいません。
(強くこすり過ぎますと舌を傷つけますし、頻回のやり過ぎも痛めてしまいますので週一回程度でかまいません)
まとめ
- 歯がない総入れ歯の人も口腔ケアは必要である
- 歯がなくても入れ歯を介して付着細菌は局所や全身に悪影響を及ぼすことがある
- 入れ歯に付着する菌はカビの一種であるカンジダ菌などが主である
- カンジダ菌は舌カンジダ症や誤って飲み込むと誤嚥性肺炎など重篤な合併症を引き起こす原因となる
- 入れ歯は食後一度お口から外して、すすぎ洗いをすることが望ましい、入れ歯洗浄剤も定期的に使用することが望ましい
今回は、「総入れ歯の方の口腔ケア」ついてお話をさせていただきました。
内山歯科医院では、患者様に丁寧な説明と患者様の悩みやご要望を聞きながら、治療を進めている歯科医院です。
何か困ったことあれば、いつでもご相談ください。
東京都武蔵野市 内山歯科医院
院長・医学博士 内山博人
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