東京都武蔵野市 内山歯科医院
歯科医師・院長 内山博人
今回は少し話題を変えまして、歯科疾患とは少し異なるお話として
スポーツ用マウスガード
のことについてお話したいと思います。
スポーツ用のマウスガードとして簡単に思い浮かぶのが、ボクシングの試合でボクサーが装着しているマウスガードが一般的に思い浮かべやすいと思います。
1ラウンドごと戦いが終わりコーナーポストに戻ると、まずセコンドが口からマウスガードを外して水分などを取らせながらアドバイスを送り、次のラウンドが始まる直前にマウスガードを装着する場面をよくテレビなどでご覧になると思います。
このマウスガードは我々歯科医が作製するのですが、昔はボクシングくらいしか装着していませんでしたが、近年歯の損傷を防ぐという観点以外からの効果効能が立証され、様々なスポーツにも広く使われるようになりました。
主に格闘系の競技に使われはじめていましたが、その内ラグビーやアメリカンフットボールに取り入られるようになり(私は学生の頃ラグビーをやっていましたが、当時はまだマウスガードを装着するという文化はありませんでした、現在は高校ラグビー以上の学生ラグビーにおいては装着が義務化されています)、現在はコンタクトプレートとは関係のないプロ野球選手の一部などにも使われるようにもなりました。
マウスガードは歯の表面を覆い保護することで、相手の体やボールと接触した時の歯の損傷を防ぐことを一番の目的としておりますが、それ以外の効果として、
瞬発力を必要とするスポーツの場面でマウスガードを装着したほうがより力が発揮されることがわかってきました。
簡単な例えを言いますと、例えば地面においてある重い荷物をもちあげようとする時、一番力を出そうとする瞬間、人間は口を閉じて無意識の内に歯を食いしばって力を入れています。口を開けたまま重いものを持ち上げようとしても力が入らず、咬むことで全身に力が入ります、
「歯を食いしばって頑張る」
とはよく言ったものです。
この力を入れる時に何も装着しないで天然の歯で食いしばるより、マウスガードを入れてガッチリと咬んで力を入れたほうが、より強力なパワーを発揮できることがスポーツ力学やスポーツ整形外科の分野での様々の実験や検証から明らかになってきました。
オリンピックで重量上げの選手などがマウスガードを必ず装着していますが、あれこまさに力を出すために装着しているその最たるもので、個人競技なので相手との接触による損傷を防ぐためのものではないことが容易にわかると思います。
またマウスガードを装着して咬むことにより首周囲や頸部の筋肉により力が入り硬直することで、例えば頚椎損傷などのスポーツ事故を防ぐ効果もあるといわれています。
ラグビーも相手にタックルする瞬間やボールを持って相手に当たる瞬間に顎に力を入れて咬み締めますが、この時にマウスガード装着により首の筋肉を固めることで、頭部が安定し脳震盪のリスクをへらすことにも繋がるといわれています。
前述のプロ野球の選手にも使われはじめているのは、バッターがボールを打つ瞬間より力を入れて、バットを振り込むことでボールをより遠くに飛ばす力を発揮するためによると思われます(世界のホームラン王、王貞治さんも打つ瞬間あまりに咬む力を入れすぎて、選手晩年は奥歯がボロボロだったいう話もあるほどです)
昔はこのマウスガードを作製するのにそれなりの機材や設備を必要としていたのですが、近年はそのハードルも下がり、我々のような一般歯科開業医でも作製が可能になってきました。
最近ではスポーツジムで筋力トレーニングを行う時にマウスガードを装着していらっしゃる方も時々お見受けいたします。
アマチュアスポーツや趣味のスポーツでも、歯の損傷防止のみならず、より力を発揮させたい場面はあるかと思われます。健康保険は効きませんが、比較的安価なお値段でご自身の歯並びにピッタリあったオーダーメードのマウスガードが作製可能ですので、(当院におけるスポーツ用マウスガードの作製は5,500円(税別)となっております)ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
東京都武蔵野市 内山歯科医院
歯科医師・院長 内山博人
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